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書評『沖縄と米軍基地』

書評『沖縄と米軍基地』

沖縄と米軍基地

本書は昨年3月まで27年間沖縄地元紙琉球新報の記者を務めた著者による待望の「沖縄の基地問題」解説書である。熟練した元記者による情報の豊富さと定評のある明快な語り口で文字通り“国家のウソを暴く”(本書帯のコピー)内容となっている。

〈第一章 「普天間」の行方〉は頁数が多く割かれていることからも分かるように本書の中心をなす。いわゆる「普天間問題」の経緯と、そしてここが最も訴えたいポイントといして、大部分の日本人がいかにこの問題に対し無関心あるいは無理解であることが深刻であるかを指摘している。とりわけ《印象に残っているのは、日米安保や基地問題に関するデータ、言説や論理、理屈や理由に関するウソや誤解、誤認や屁理屈、不理解や不認識のあまりの多さです》というとおり、日本のメディアに対する批判は熾烈であり、それを勤勉に毎日読んでいる多くの日本人はよく考えるべきである。

いったい「普天間問題」いいかえれば「沖縄問題」なるものの真実はどこにあるのか。防衛、安保、外交といった最重要事項の真実、つまり日本はいまだにアメリカの属国であり、その限りでの「平和」を戦後享受してきたにすぎないということを国民に知らせず(あるいは国民は知っていても知らないふりをし)、一方でその代償としての米軍基地負担の多くを沖縄に押しつけ続けてきた構造にある。そして代償は実は沖縄の基地負担だけではなく、いまだに民主主義を実現できていないという日本全体にとっての大き過ぎる代償に他ならない。本書で紹介される多数の情報はその一々を例証している。

また、著者は基地経済についても得意分野であり、〈第四章 基地経済と沖縄〉も読みごたえがある。その具体的データに基づいた論旨はシンプルであり、「沖縄は基地がなくなると食べていけなくなる」という間違った常識を軽快に覆す。琉球大学の大城常夫名誉教授の説を紹介した次の引用は「常識」を反対から読み直すと自ずと導き出される結論だろう。

沖縄が「経済自立」を手中にすれば、さらなる経済発展に必要な場所を求め、米軍基地返還の動きを招きかねない。そうなれば在沖米軍基地に大きく依存する日米安保は根幹を揺るがしかねない。日米安保を将来にわたって安定的に維持・運営していくためには米軍基地の拠点として沖縄の経済発展をいかに抑制し、米軍基地なしでは地域経済が成り立たないような体制をいかに保持するかが日米両政府にとって重要な課題となるとの見方です。


よく比較される例であるが、基地返還され地域が活性化した北谷町と、普天間基地「移設」先の辺野古を抱えることにより莫大な振興予算が投下され続けたにもかかわらず失業率は悪化し、市の借金は膨らむばかりの名護市の事例紹介はこれまた分かりやすい。基地受け入れのための「アメ」に依存し続けてきた名護市がようやく事態に気づき、基地に反対する立場の新しい市長を選んだ昨年の変化は記憶に新しい。

著者が最も危惧するのは日本の民主主義の形骸化である。そのことが沖縄にいるとよく分かる。だから一刻も早くそのことに気づくべきだと平易な文体で「日本人」に語りかけている。文体は平易であるがその訴えは「日本人」へのレッドカードである。「このような入門書を書かせるのはこれで終わりにしてもらいたい」と。

(西脇尚人 2011/10/15)

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