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座間味のコトー 離島の真相(8)島を去る医師と妻の心のひだ

座間味のコトー 離島の真相(8)島を去る医師と妻の心のひだ 2007/06/01

怪文書に激しく揺さぶられてきた沖縄・座間味診療所の医師が、5月31日で職場を去ることになった。離島の医師を支えてきた妻は、自身の労苦を「役目を果たしただけ」とさりげなく語った。医師は勝った。だが、その思いを砕いた「何か」に強い怒りを覚えた。



「座間味のコトー 離島の真相(7)」で、医師の辞任が決定したことをお知らせした。22日、沖縄県立南部医療センター院長、県の病院事業局病院課長ら2名と阿嘉診療所の医師が座間味診療所を訪ね、医師の辞表が正式に受け入れられ、5月31日で診療所を去ることが決まった。

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座間味診療所

 以前から座間味診療所には胃の内視鏡検査の駆け込みの申し込みが殺到し、既に予約はいっぱいだという。医師にとって忍びないことかもしれないが、残り少ない診療の時間を見事に全うすることだろう。

 医師は私に、こう語った。「院長は開口一番、『先生、長い間ほんとにありがとうございました』と申されました。一生懸命にこの地で頑張ったのが一気に報われた思いでした」。この時点で医師は勝利した。

 このことを我がことのように喜んでいるのが、9年間、医師を陰ながら支えてきた夫人だろう。怪文書事件以来、夫が勤務している昼間、自宅に一人でいることにおびえ、時に憔悴した医師を励まし、時に眠れぬ夜を2人で過ごしてきた。

 そんな夫人は現在、慌しく引越しの準備に追われ、9年間に溜まった生活用品の整理に奮闘中だ。これまでの心境を伺うと、「夫には離島の医師として、長年にわたって張り詰めたものがあったんだなと、改めて思いました。私は淡々と役割を果たしているだけでした」と、控え目でさりげない答えが返ってきた。

 最後に、これまで医師が私宛に送ってきた短いメールの中から、この間の医師の微妙な心の葛藤をご紹介したい。

「おひさしぶりです。お元気ですか。いま、座間味が揺れています。私もこの流れの中でどう動けば良いのか。迷うところです。元はと言えば、昨年秋の公開討論会開催以後の『住民の自治への目覚め』と思っています。でもなかなかクリアできない障害が立ちはだかっています」(3月17日)。

 昨年の画期的な公開討論会以来、座間味の住民自治に関心の高い私の元に、医師から送られた久々のメール。

「私が座間味でやっていることにいろんな中傷があります。『公務員のくせに』、『~はアカだ』などなど、私宛の怪文書も届きました。~この座間味に住民自治、民主主義が根付くまでがんばろうと思っています。診療所にきにくくなる方が多少出ているかもしれないのはほんとに心が痛みます。『~はアカだ』と言われるとどうしてもオジイ、オバアの足は遠のきます。でもこういう時期はもうすぐ終わるような予感がします。明るい座間味がもうすぐ戻ってくると信じています」(3月18日)。

 医師は初めて怪文書について触れ、住民自治への決意を改めて語る一方、信頼関係のあったお年寄りの通院がなくなったことを悲しむ心境が語られている。

「明日、県の病院管理局から面会を求められています。私は大丈夫です」(4月12日)。

 座間味への1回目の取材から戻った数日後に送られてきたメール。怪文書が県病院事業局に送られ、局長以下各役職担当者の確認印が押され、局内を回覧されたことを医師は知る。聴かれない先から「私は大丈夫です」と述べる医師の変化に気づいたのは、その後2回目の取材で訪れ、明らかに憔悴したその姿を見た時だった。「大丈夫です」というのは、「大丈夫ではない」というシグナルを送っていたのだ。

 この後、住民への説明会(4月24日)時の3回目の取材まで、夫妻の心身の状態は最悪だった。他人に平等に接し、気遣いし、常に公平・公正を求めるそれまでの医師を、私は尊敬していた。その医師の口から酒の席で投げやりな言葉が漏れた時、私は言いようのない悲しみを感じた。同時に「明るい座間味」の到来を信じていた医師の希望を、これほどまでに打ち砕いた“何か”に対し、激しい怒りを覚えた。

 説明会の終了後、重荷を一つ降ろしたのか、最悪の心理状態は脱したように見えた。だがもちろん、この間も日々の診療は続く。そこには「先生、辞めないでください」という幾多の声があり、また、そのことにはお互い触れない気まずいぎくしゃくした時間があった。多くを語らないが、この時間は医師にとってなによりの責め苦だったかもしれない。

 「院長は開口一番『先生、長い間ほんとにありがとうございました』と申されました。一生懸命にこの地で頑張ったのが一気に報われた思いでした。提出した私の辞表は快く受け入れられ、安堵いたしました。……5月一杯で去ることが知れ渡った後の診療所はちょっと心配ですが、幸いにも25日から学会出張があり『先生!辞めたらだめ』のコールからひと時でも避けることが出来ます」(5月22日)。

 改めて書くが、医師は勝利した!

◇ ◇ ◇

前回記事:座間味のコトー 離島の真相(7)島民8割が怪文書拒否宣言に署名

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