twitter @oam0

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

なぜ安倍政権は憲法改正を急ぐのか(下)

なぜ安倍政権は憲法改正を急ぐのか(下) 2007/04/17

自民党案の特徴は集団的自衛権という言葉を使わずに自衛軍が海外で行動できるとしている点にある。憲法9条を空洞化させてはならない。



なぜ安倍政権は憲法改正を急ぐのか(上)

◇ ◇ ◇

 なぜ安倍政権は憲法改正を急ぐのか(上)の続編として、前回に引き続き、渡辺治一橋大学社会学部教授による基調講演の内容をお伝えする。

photo115.jpg
安倍政権の「画期的」性格を分析する渡辺治一橋大学社会学部教授。

 安倍政権が憲法改正を実行するには2つのハードルがある。1つは憲法96条にある通り、衆参両議院で3分の2の多数の賛成が必要だということ。自民党と公明党では足りず、民主党も賛成する案でなければならないということ。

 2つめが国民投票。これまで国民投票法がなかったのはなぜかというと、国民投票法を出すと、国民が「憲法改正するのではないか?戦前に戻るのでは?」と警戒心を持つからだ。

 2003年自民党の憲法調査会が憲法改正作業にとりかかった。その時、自民党タカ派の人たちが議論したのは、9条改定よりもむしろ、1条の象徴性天皇をどうするか、24条の「婚姻は両性の合意に基づいてこれを行う」、26条の「国民は教育を受ける権利を有する」、25条の「国民は最低限の生活を営む権利を有する」をどうするかについてだった。

 彼らの関心は少年の犯罪が起こる、家庭の崩壊が起こる、児童への虐待が起こる、親の介護の放棄が起こるといった社会の荒れをどうやって再編するかということだった。

……彼らはその原因がグローバル社会と構造改革にあるとは思っていない。憲法調査会の中で一番議論になったのが24条です。今いったように24条は「婚姻は両性の合意に基づいてこれを行う」、男と女が好きになったら結婚するという規定です。この24条こそが日本の家庭をダメにしている最大原因だと思っている。

 男と女が好きになって自分の夫を捨てる、子供が邪魔になるから殺す、親が邪魔だから介護を放棄する、家に火をつける、こういう家庭の崩壊を容認しているのが24条であり、さらにそれを子供たちに押し付けるのが教育基本法だということになるんですね。また25条もけしからん、生存権ということですぐに国に頼る、そんな依存的な国民ができているから道徳の退廃が起こるのだ。ということで生存権規定も変えようとする。

 この議論の結果、2004年12月にできたのが憲法改正草案大綱だ(注1)。

 これに対して財界や政府の指導者、支配層は真っ青になった。これでは決議で3分の2を取れない、民主党の賛成を得られないとふんだからだ。小泉政権は2004年12月に自民党憲法調査会から憲法改正権を奪い、新憲法制定推進本部という組織を作って、改めて全く新しい憲法改正法案を作った。1年かけて2005年10月にできたのが自由民主党の新憲法草案だ(注2)。財界やアメリカの要求に絞り、民主党も呑める、国民投票をやっても勝てる案が新しい憲法草案の方針であり、安倍政権はそれを受け継いだ。

……実は当時の安倍さんはこれに反対した。ところが安倍さんは総理大臣になったとたん自分のタカ派の意見、新保守主義的な意見を封印して、とにかく財界やアメリカのいうなりになった法案を通さなければならなくなった。それが今の安倍さんです。

 自民党新憲法草案には5つの特徴がある。1つ目は、日本の伝統と文化、道徳としつけといった新保守的な規定を全部省き、9条の改定、軍事大国化することに焦点を絞った点。

 第2の特徴は「集団的自衛権」という言葉を使っていない点。第9条の2、第3項「自衛軍は~国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動~を行う」の「国際的に協調して行われる活動」を書けば「集団的自衛権」という言葉を使わなくても、自衛隊はアメリカといっしょに海外で戦争できますよ、という意味になる。

 その代わり第3番目として、自民党のタカ派が絶対に嫌うような新しい人権、環境保護、知る権利、犯罪被害者の権利などを入れた。これは明らかに民主党対策だ。

 4番目に、民主党も賛成できるような構造改革を推進する地方分権、財政健全化の規定などを入れた点。

 5番目が96条を改正した点。過半数でよいことにした。自民党、公明党だけの賛成でよい。これで自民党タカ派の人たちを説得した。

 2つ目のハードルである国民投票法についてはどうだろう。

……この改憲国民投票法案には2つのねらいがあります。1つは、これで国民投票をやって負けましたというわけにはいかないんですね。絶対に国民の賛成多数をとるような手続きを作らなければならないのです。もう1つ、民主党を巻き込まなければならない。強硬採決できるのにさかんに民主党に声をかけているのは、民主党がへそを曲げたら肝心の改憲草案で民主党が賛成してくれないわけでしょ。この国民投票法だけ通っても意味がないんですね。

 この修正法案で最も危険な点が2つある。1つは、特定の階級の人たち、教員と公務員をターゲットにして反対運動を禁止している点だ。

……もう1つは政党、労働組合、市民団体の運動を規制する。例えば去年の12月14日の憲法調査特別委員会で何が議論されているかというと、今日のように憲法改定の話をする場所で、最初にコンサートをやる。コンサートを無料でやったらそれは利益供与に当るかどうかが問題になっています。私が長野の9条の会で講演した時、長野の9条の会の皆さんが手作りのケーキを会場で配ったんですね。これは利益供与かもしれない。このように「これは利益供与になる、これはならない」と気にするだけで大変なプレッシャーになります。

 例えば、国民投票運動の最初の時に9条の会のある種の運動に対して弾圧をする。それは2、3年して無罪になってもいいんです。それがまったくのでっち上げだったとしても、全国の市民団体、労働組合、政党はビビりますよね。それを狙っている。

……最後にそれでは私たちはどうすればいいのか、ということをお話したいと思います。もし憲法9条が空洞化しているとしたら、安倍政権がこんなに時間と手間隙とリスクをかけて改正にチャレンジするはずがない。それだけ9条の障害が大きいということです。

 この沖縄を含めて、日本の戦争を体験していない人の割合は7割4分になっています。アメリカも、アフガンも、イラクもみな戦争を知っています。この7割4分を、7割5分、7割6分にしていく。そしてアジアに9条を実現していく。こういう闘いの第一歩にするのか、安倍政権の改憲政策を通してしまうのかが問われていると思います。


 12日(木)衆院憲法調査特別委員会で国民投票法案の与党修正案は自民、公明両党の賛成多数で可決され、13日(金)衆院本会議で可決された。民主党は野党共闘を重視し、自公民協調体制は瓦解したと報じられているが、その真相も含めて政治を見る目が市民に問われている。

 15日(日)来沖した安倍首相は那覇市内で、参議院沖縄選挙区補欠選に立候補した島尻安伊子氏(自民・公明推薦)の応援演説の演台に立った。

(注1)http://www.kyodo-center.jp/ugoki/kiji/jimin-souan.htm
(注2)http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/jiminkaikenann.htm

サイト内検索
カテゴリ
お問い合わせ

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。