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書評『普天間問題 現実逃避の米国追従を続ける日本政府の妄念』

書評『普天間問題 現実逃避の米国追従を続ける日本政府の妄念』

世界7月号

「世界」2011年7月号
岩波書店
定価 840 円(本体800 円)

佐藤学(沖縄国際大学教授)が雑誌『世界』7月号に寄稿した論文のタイトル『普天間問題 現実逃避の米国追従を続ける日本政府の妄念』は切れ味が鋭い。「現実逃避の米国追従を続ける日本政府の妄念」。これこそ「普天間問題」について日本人が直視すべき、そして一人一人が立ち上がり変革すべき我が国最大の課題に他ならない。

佐藤は今年に入って明らかになった辺野古移設についての情報、すなわち二月に行われた共同通信・琉球新報・沖縄タイムスによる鳩山前首相へのインタビュー、三月に明らかになったメア前在沖米総領事の差別発言、そして、五月ウィキリークスによって公開された米国務省公電のうち沖縄関連にまつわる情報をまとめている。これらはみな驚きの情報であるが、沖縄に住むわれわれにとって「やはりそうだったか」というように、これまで核心に近い疑いであったものが事実によって証明されたに過ぎない。佐藤もその立場から論じている。これらは皆全国メディアの黙殺により、まさに「本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること」となってしまっているのだが。

まずは鳩山前首相の「抑止力は方便」発言。全国メディアはこれを鳩山の個人的資質の問題として処理しようとしたが、佐藤が注目するのは、「県外・国外」政策を外務・防衛官僚が全く取り合わなかったという鳩山の述懐であり、政権が変われどびくともしない米国追従を国是とする官僚機構の磐石ぶりこそ問われるべきであるという。

「沖縄県民は怠惰でゴーヤも作れない」「ゆすりの名人」などの差別的発言がバレ、日本部長を解任されたメア氏であるが、佐藤によれば、より重要なことは「米国の沖縄政策の中枢にメア氏がいたことである。辺野古の現行案を作成する中心的な役割を果たしたメア氏が沖縄に対する差別的な見方をしている事実は、彼個人の資質の問題をはるかに超えて、米国の沖縄基地政策が沖縄への差別に基づいて作られていたことを示す」ことにあると指摘する。

ウィキリークスで明らかになった沖縄基地問題関連情報において、日米政府のとった対応で最も深刻なことはなにか。佐藤によれば、それは鳩山政権になってから、日本政府が辺野古移設以外を求める交渉を一度もしていないという事実にある。いやむしろ、日本政府は執拗に辺野古移設を要求しさえしていた事実が白日の下に晒された。佐藤はこれら公開された公電こそ「本来、日本国民全体が深刻に受け止めるべき性質のものである」と批判する。だが、全国メディアはまたしてもこれを「沖縄問題」としてかたづけ、日本人全体に共有されることはなかった。

しかしながら、このような国内事情とは関わり無く、米国では財政問題から軍事予算にメスを入れる新たな状況が進行している。影響力のある米国上院議員の三人が、予算削減の観点から「辺野古移設はもはや不可能である」という声明を発表したのだ。佐藤はその中でも「嘉手納の空軍の一部を三沢やグアムに移しても、抑止力に影響は無い」と断言したウェブ議員の主張に注目し、「これは、米軍にとり、沖縄基地の価値は日本がこれまで信じてきた程に大きくないという判断に他ならない」と解説している。

これらの事実をまとめるならば、在沖米軍基地が軍事的・地政学的になければならないという「現実主義」は、ひたすら米国追従を続ける日本政府の「妄念」に他ならないといういことであり、それは日本国内でしか通用しない間違った「常識」である。われわれはそのような「現実逃避」につき合わされるのはごめんだといわずしてなんといおう。

(西脇尚人 2011/6/25)




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