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報告「戦争をしない国 日本」那覇上映会

報告「戦争をしない国 日本」那覇上映会 2007/02/02

那覇市で先月下旬、映画「戦争をしない国 日本」シリーズ第1弾の上映会が開かれた。改憲が叫ばれ、中でも第9条を変えよう、という動きが活発になっているが、米軍再編とからんで自衛隊の在り様も問題になっている。そんな風潮に抗するために、戦前から最近までの日本の動きを検証し、「戦争をしない国」であるために、ともに考えよう、というのがシリーズの狙い。上映後、参加者たちの活発な意見交換が行われた。



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ドキュメンタリー映画「戦争をしない国 日本」の上映会が1月20日、21日の2日にわたって、那覇市首里の喫茶室アルテ崎山店で有志グループにより行われた。上映後の熱心なディスカッションも含めて、20日の様子をレポートする。

 この作品は、日本国憲法をテーマに3人の監督が構想を練り上げ、各界を代表する108人の呼びかけによって実現されたシリーズの第一弾。監督は「裁かれる自衛隊」、「トンニャット・ベトナム」、「日独裁判官物語」など多くのドキュメンタリーを手掛けた片桐直樹氏。

 米軍再編に組み込まれ、戦争ができる国への準備が進められる日本。60年前、戦争をしない国を世界に誓ったのはいったい何だったのか?歴史を紐解き日本国憲法の成り立ちと憲法九条をめぐる今日に至る経緯を膨大な映像を積み重ね、真実を究明するこの映画。憲法改正論議が叫ばれる中で、市民一人一人が憲法と平和主義について学び、考える機会を与えてくれる。

 上映に先立って、中原俊明・琉球大学名誉教授が「改憲により日本が滅ぶ」と題して講演を行った。中原教授は「日米同盟至上主義の現在では、愛国心は米国のため、米国を愛する心となる。米国のために死ねるのか?ということが若者に問いかけられている。憲法改正論議がなされているが、国民が無関心なのは政府与党にとって思うツボだ。思考停止状態にある国民が目を覚ますことが重要だ」と警鐘を鳴らした。

 そして、いよいよ本編の上映。自衛隊員がイラクで戦闘してきた米兵から手取り足取りされて銃撃戦を学ぶ場面、自衛隊の装甲車が繁華街を走り、迷彩服を着た自衛隊員が地下鉄に乗り込んで訓練を行う場面など、リアルな現在から映画は始まる。こうした場面で、米軍の再編と、その中での自衛隊の役割とは何かが表現されている。

 映画は戦前に遡り、日本が天皇を頂点とする軍事的な国家であったこと、日本軍のアジアに対する酷い仕打ち、国民の戦争協力などについての映像が続く。また、終戦直後の映像は、いかに多くの人々が戦争のない社会を求めていたかを現していく。

 続いて、自衛隊の発足と海外派遣の背景にあるアメリカの意向などの真相が語られ、市民による基地反対闘争・安保闘争・核兵器廃絶の闘いが紹介される。国民に知らされない国家の思惑、現在の市民たちの「おとなしさ」に比べて、当時の市民たちのパワフルなところがよく分かる。

 全体として、戦前・戦中・戦後そして現在までの、戦争をめぐる日本の歩みが極めて分かり易く描かれ、今更ながら国家のカラクリを思い知らされる。憲法と平和主義について学び、考える機会にしたいという製作意図は、見事に成功しているといえよう。まさにいま、1人でも多くの人に見せたい映画だ。

 一方、太平洋戦争で国内で唯一の地上戦を経験し、今尚在日米軍基地の75%が集中する沖縄で生活する私としては、その沖縄の歴史と現在の描き方に不満の残る面もあった。確かに沖縄戦、米軍基地、辺野古の闘いはそれぞれ描かれているのだが、それは「日本国」の中のあくまで one of them として描かれているに過ぎない。演出者の認識がそうなのだろう。

 映画の中で抵抗運動を続ける1人が「憲法があるからこれまで日本は平和にやってきた」と九条の重要性を口にする場面がある。この映画のポイントでもある場面だが、それは半分の正しさに過ぎない、と私は思っている。残りの半分は日米安保により米軍の傘の下で「平和」でいられたからであり、そしてその負の代償の多くは米軍基地によって占領され続ける沖縄が担わさてきたからだ。

 「沖縄を描ききれているのか?」という問いかけは、上映後のディスカッションの中でも上がった。それに対し主催者の1人が答えた。「この映画は今後もシリーズが続く。この第一弾が沖縄各地で上映の輪が広がり、その議論の中でそれも含めて様々な声が上がり、沖縄側から映画を創る、というところまで発展していけばよいと思っている」と。

 また、ある大学生は、「様々な反対運動が過去行われたのは分かったが、それでも軍事化への道は結局、防げなかった。だからこの映画を観て、どう(積極的な)反応をしてよいか分からなかった」と発言、閉塞感に打ちひしがれた思いを話した。別の大学生の声にも、全体的にポジティブに反応できないもどかしさが見受けられた。

 彼らとは対照的に、やや年配の人からは「安保反対運動などを、自分は同時代に生き、見てきたはず。その一連の流れが、今この映画を観て初めて分かった(国民にいかに事実を知らせてこなかったか)。当時、あれだけのエネルギーがあったのだから、今でもできるはず」「希望を捨てないことが大切」などの意見も出た。

 参加者の1人で千葉県出身の20代の女性は、「沖縄へ来て戦争の歴史、沖縄と日本についてなど、たくさんのことに気づかされた。それらについて友人知人と語り合いたいのだが、なかなか言い出しきれない自分がいる。本土から観光客として来た友人に、あるいは帰省しての親との茶飲み話で、あるいは沖縄にいてもこうしたことに関心の薄い友人などに、話を切り出したいのだが切り出せない。こういう会場へ足を運ぶのは意識のある人。それ以外の人たちへどう伝えていくか」と語った。

 戦争、平和、あるいは政治について日常的に語ることが躊躇される風潮が、日本を席巻している。沖縄でも基地問題を表立って口にすると、相手の表情がこわ張る。だからあまり口に出さないほうがよい、という傾向は強くなっている。だが、そこからは何も生まれない。

 例えばこの日のディスカッションのように、「どう(積極的な)反応をしてよいか分からなかった」という態度を表すだけでもよい。それに対して「希望を捨てない」という応答が得られれば、自分とは違う捉え方があることを知る。対立したとしても、それはポジティブな対立で、そこにいた人たちへの新しいヒントとなる可能性も秘めている。そういった生産的な場が、様々なところで自然発生的に起こったとしたら‥‥。

 既に触れた通り、主催者側はこの映画の上映会を今後沖縄各地で発展させていきたいとのこと。それは自分たちが単独でやるというよりも、希望する声が(特に若者に)自主的に上がり、輪が広がっていくことを願っているそうだ。今回はそうした実行委員メンバー希望者・団体の募集と説明を兼ねた上映会になった(問い合わせ先は喫茶室アルテ崎山店 098-884-7522)。

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現在の「日本の危険な状態」について語る中原俊明琉球大学名誉教授   上映後のディスカッション。活発な意見の交換が行われた

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「戦争をしない国 日本」より                        「戦争をしない国 日本」より

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「戦争をしない国 日本」より                        「戦争をしない国 日本」より

関連サイト:
シリーズ憲法と共に歩む・第1篇「戦争をしない国 日本」
喫茶室アルテ崎山店


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