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基地のない沖縄をイメージするWSのためのメモ8

「基地のない沖縄をイメージするWSのためのメモ6」では、ビートルズの“All You Need Is Love”は「自分たちでできると思っていることは、あらかじめ決められたことしかできない」とギリギリのかなりヤバイ状況をひたすら説いた絶望に近いラブソングだとする岡崎乾二郎の解釈を紹介した。「基地のない沖縄をイメージするWSのためのメモ7」では、曲の終わりにリフレインでフェイドしていくところに重ねられるポール・マッカートニーのボーカルShe loves you, yeah, yeah, yeahをRCサクセションの「君はそのうち死ぬだろう」ライブバージョンが模倣していることを指摘した。そしてこの曲はノイローゼ気味で今にも死にそうな友人を励まそうという動機から忌野清志郎が作ったというエピソードをつけ加えた。

両者に共通するのは反語的であるということだ。前者では、世界に絶望をみる曲に、嫌われたと思っていた彼女が君のことを好きなのだと「間接的に」聞かされる過去の代表曲がリフレインされながら挿入される。後者では、ノイローゼ気味の友人を励ますために「君はそのうち死ぬだろう」としつこく繰り返す曲に、「彼女は君を好きなんだよ」のリフレインが模倣して挿入される。

一言でいえば、清志郎はジョン・レノンの「愛こそはすべて」という博愛主義とみなされているが実は絶望的なラブソングを、「君はそのうち死ぬだろう」という絶望的な表現方法のラブソングとして正しく解釈しているのだ。

ここで反語的について岡崎が語っている部分を引用する。

つまり、〈空がある〉のように最も当たり前のことを疑うということは、「場面」を作るということとつながります。場面を作るということは、嘘か本当か分からない、別の非現実的な空間を作るということ。ジョン・レノンがいっているのは、一番当たり前だと思っていることが実はunrealであるということ、外側がない世界ということ。

ここでウィトゲンシュタインが仄めかしていることは、それがもし成り立つとしたら、その見たこともない外の世界を前提にしなければ本当のことはいえないということです。しかし前提にできない。倫理学というのは、この世界のありえない外側を考えることに他ならないということです。最も当たり前なことを〈夢かもしれない〉ということは、その夢の外の世界を考えるということです。

詩を書く、絵を描くなどは、詩を書くならスタンザなどの形式があるように、閉じた枠を作ることだが、それはその中に好きな世界を作るということではない。そこで一番おもしろいことが起こるのは、枠の外に書いてあることと中身をすり替える、ずらすことができるということだ。文章であればそれは語尾に現される。「~た。」で終るのか「~だそうな。」で終わるのかによって、中身(商品)の扱い方が変わってくる。

岡崎乾二郎 清志郎を語る!

反語は曲の終わりに遠慮がちにかつしつこく挿入される。それはありえない枠の外の世界を想像することに他ならない。この手法の効果と恐さを知ってしまった清志郎は、隠れた小曲の中で目立たぬようにこの手法を採用している。




窓の外は雪

  あーあ とうとう裸にされちゃったなんて
  言いながら
  あの娘が起き上がる朝
  窓の外は雪

  ぼくの耳もとで好きだなんて
  ささやいて
  あの娘といっしょの朝
  窓の外は雪

  寒いから 寒いから
  あの娘抱きしめる
  とてもあったかいのさ
  窓の外は雪
  窓の外は雪
  窓の外は雪・・・
  (ぼくらは薄着で笑っちゃう・・・)


窓の外は雪であるという当たり前の現実に対して「ぼくらは薄着で笑っちゃう」。このシュールな「ぼくら」は現実の外にいるとまずは想起させられる。ところが次の瞬間、外側=雪=現実、内側=部屋=薄着で笑っている=非現実という構造自体が逆転させられる。どちらが現実で、どちらが非現実なのか?それはマチスの『金魚』の世界に似ている。

時が経過し、清志郎は「イマジン」に日本語詞をつけるときに「ぼくらは薄着で笑っちゃう」を挿入することを忘れない。われわれが曲を聞くたびに馴染むことを拒否されるこの部分こそ、清志郎にとっては納得のいく手法であっただろう。



「基地のない沖縄をイメージするワークショップ」は、「ぼくらは薄着で笑っちゃう」リアルな=非現実の世界を想像することであることがようやく判明した。

(西脇尚人)

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test

才能溢れる記事ですね!

無題

テストです
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