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沖縄戦後思想史から東アジアへ

沖縄戦後思想史から東アジアへ

シンポジウム《恋人のように!!「東アジア」へ 〈併合40-1〉琉球群島から、今、呼びかける》 が9日、沖縄県立博物館・美術館講堂で開催された。自立と共生の思想、琉球弧の自己決定権などをめぐって、活発な議論が展開された。詩人・思想家である川満信一の著作『沖縄発 ――復帰運動から40年』の発行を記念して、改めて沖縄の現状を幅広い視点から議論しようという試み。

川満信一は「異場の思想と東アジア越境憲法」と題した基調講演で、沖縄戦後史と自らの歴史体験を重ねつつ、その豊穣な思想を語った。まずは、なぜ「反復帰論」だったのか?1960年の安保改定とともに、アメリカの沖縄政策が変更し、沖縄の施政権返還に向けて、手の込んだ謀略が仕掛けられたのではないかと川満は疑う。それは当時のキャラウェイ高等弁務官が復帰尚早を唱え、同時に「沖縄で自治なんて神話だ」と発言し、沖縄の有識者を挑発したことの意味を捉え返すことから生まれる疑問だ。

川満
川満信一

この間沖縄の政党、労組は東京の中央組織に縦系列化され、統率力を失い分裂していった。川満は復帰運動がいう「祖国」という言葉に疑問を持つ。国家とは何か?という課題に向わない限り、運動は足もとをすくわれる。その反省から、国政参加拒否運動、反復帰を唱えた。

人は日常と非日常を行き来する生を送っているが、夢見ることも日常であり、同時に非日常であると川満はいう。非日常、非現実主義の「異場の思想」は、現実にはありもしないものを創り出そうとし、世界を考え直すことが大切であると。

パネリスト
パネルディスカッション

後半のパネルディスカッションでは、コーディネイターの仲里効が「世代を横断し、かつ今の時代から川満信一の思想を読むことがどのような意味をもつのか」とシンポジウム開催の動機を語った。さらに、ここ数年琉球新報の社説を始めとして「琉球弧の自己決定権」という言葉がみられることが顕著になった点に触れ、「明らかに復帰運動のときとは異質なものを感じる」とし、沖縄が転換期を迎えていることを示唆した。

板垣雄三(東京大学名誉教授)は、一つにすること、一と数えることなどを意味するイスラムの原理「タウヒード」について解説し、その前提に多様化があるとし、そこから多即一のネットワークとパートナーシップという組織原理が生まれたと述べた。さらに中東情勢の根本にはパレスチナのインティファーダがあり、かつての階級や民族から立ち上がった革命とは違い、雑多な市民が主体となって動く新しい革命であると指摘し、「それは自分たちの政府への抗議として始まるが、世界を変える市民革命へと変化していく、その原理がネットワークとパートナーシップである」と中東の同時革命の背景を概説した。

平良識子(琉球弧の先住民族会・那覇市議)は、1995年の米兵による少女への事件が、復帰後世代として沖縄のアイデンティティを考えるきっかけとなったことから、AIPR(琉球弧の先住民族会)に関わるようになった経緯を語った。さらに那覇市議としてとり組む再開発問題では本土の大手企業が事業主を占めている点を指摘し、それを沖縄側から求めていることも併せて違和感があると述べた。

崔真碩(広島大学教員)は、「北朝鮮とどう向き合うか」という問題提起をした。崔によれば、朝鮮戦争はいまだ終わっていない。それを終われせることと嘉手納基地からB29が飛んだ沖縄は切り離せない。そのうえで「北朝鮮は恐いから米軍は必要だ」という仕掛けられたカラクリを疑う必要があると述べた。

山城博治(沖縄平和運動センター)は、高校時代から反基地闘争に関わり、3年のとき学校をバリケード封鎖し退学となった当時、「反復帰論」を読み「これしかないのではないか」と思ったと述懐し、「反復帰論」が自らの運動に影響を与えたことを語った。



質疑応答では、かつて復帰運動に携わったというフロアの参加者から、「川満は当時復帰運動をあざ笑っていたのでは?」と批判の声が挙がった。川満はこれに対し、当時の復帰運動が求めた「祖国」の実態を批判することが真意としてあった点を説明したうえで、「体制を変える方法と思想を変える方法は違う」ときっぱりと言い切った。

これを私なりに解釈すれば、運動(実践)と理念の関係にあると捉えた。運動は現実に深く関わり、妥協を含む漸進的なものとならざるをえない。これに対し理念は常に高く遠く存在する目標としてある。現実にそれを実現することは大きな困難を伴う。しかしそれは夢として斬り捨てられるのではなく、絶えず掲げておく必要がある。それは現実の運動を理念に近づけるために欠かせないから。その意味で、川満の思想は当時も今も真のクリティーク(批判)であり続ける。

(西脇尚人)

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