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書評『サイゴン ハートブレーク・ホテル』

書評『サイゴン ハートブレーク・ホテル
    日本人記者たちのベトナム戦争』


書評「サイゴン~」

平敷安常(著) 講談社 (2010/12出版)
46判・上製・484頁 2,600円

 「サイゴン ハートブレーク・ホテル 日本人記者たちのベトナム戦争」の著者は、前作「キャパになれなかったカメラマン」で語ったベトナム戦争に関った自分と何度でも向かい合う。「ベトナム戦争はわたしの青春の一部だったのです。」と言うだけでは答えきれない・・・と書く。ベトナム戦争に関った自分と自分に似た、同じ時間と空間を体験した仲間たちが抱いた「砕け散り、破れた心」を見つめ、拾い集め、きれぎれでもいいからつなぎあわせるために繰り返し語り、書く。

 砕け散ったのは空爆の音や銃弾の音や泥道の死体の山のなだれによるのかもしれない。白黒のフイルムの中の沖縄戦が重なる。戦争には時代も場所の区別はない。人間の破壊とすべての壊滅を意味する。ハートブレークは、人間の心の破壊ということだけではなく、いのちそのものの破壊でもある。ハートブレーク=著者のいう戦争症候群ともいえるだろう。

 ロバート・キャパがいつしか戦場のカメラマンの原点になり、そして現場で出会った同じ目的を持つ仲間たちとのつながりが多くの体験の源泉になる。だから、ロバート・キャパをたどり、仲間のひとり一人を語ることで自分を語り、振り返り、あの戦争が何だったのかを問うことができたのだ。
 「サイゴン ハートブレーク・ホテル」は、キャパや多くのベトナムで出会った仲間たちひとり一人の人となりを紹介しながら自分を語り、自分がそこで体感した「ベトナム戦争」を描き表している。私たちは、この本から戦争について学び、究極の暴力の姿を心に焼き付けなくてはならない。ベトナム戦争を体験した記者やカメラマンは、写真を公開し、子供たちに戦争の姿を示す。

 沖縄戦は、遠い過去のことではなく、朝鮮戦争、ベトナム戦争につながり、そしてイラク戦争やアフガンにもつながる。沖縄戦で生み出した基地は、いまも厳然として現実に沖縄に存在している。KADENAからベトナムへ爆撃機が飛び立ったことも事実である。

 「サイゴン ハートブレーク・ホテル 日本人記者たちのベトナム戦争」は、ほんとは平和ではなかった日本で自覚なく戦争に手を貸した日本人ひとり一人を断罪する書である。

 「ハーブレイク ホテル」の曲と歌声が聴こえてくる。しかし、途中で「イマジン」に変わり、そして「ハッピークリスマス(ワーイズオーヴァー)」へ。

 すべてのベトナム戦争を経験したものへ「祈り」と「鎮魂歌」として捧げた本である。
子供たちにも薦めたい本である。

(ぺん・りゅう 2011/02/13)

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