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書評『日米密約 裁かれない米兵犯罪』

書評 『日米密約 裁かれない米兵犯罪』 

書評用P「日米密約 裁かれない米兵犯罪」

編著者:布施祐仁
出版社:岩波書店
発刊:2010年4月


在日米兵に対する日本の警察権や刑事裁判権が及ばない日米地位協定。例えば、いったん犯人が基地に逃げ込んでしまえば、日本の警察は逮捕できない。米兵が車で人をはねても、それが「公務中」であれば米軍に身柄を引き渡さねばならないなど。これらの不平等な取り決めは、それぞれ同協定に定められ公表されたものだ。

しかし、これらに該当しなくても、容疑者が米兵というだけで不起訴になったり罪が軽くなったりすることがある。そこに密約の存在をつきとめたのが、日米関係史研究家の新原昭治氏であった。新原氏は、米兵が「公務外」で起こした犯罪については、日本側に第一次裁判権があるとした規定を骨抜きにする内容の日米政府による声明を、米国立公文書館から見つけ出し、2008年に公表した。しかしながら、当時の自民党政府はこの密約の存在を否定した。

著者はこの日米地位協定の虚構と闇の奥へ突き進み、米側裁判権が最大化される手の込んだ仕組みの数々を丹念な取材で暴露していく。そのカラクリについては本書を読んで理解を深めていただきたい。

本書の問題設定はそこにあるのだが、むしろ魅力はその被害のあった現場に足を運び、被害者の悲痛な叫びに耳を傾け、読者に問題を共有することを促すその姿勢であろう。中でも2002年に横須賀で被害にあったジェーンさんへの取材、また被害が圧倒的に深刻な沖縄の歴史的状況を、今年に入っての最新の事件まで地道に追っている。

さらに、在日米陸軍司令部広報室長へのインタビューも興味深い。2009年11月に読谷村で起こった米兵によるひき逃げ事件で、日本政府は容疑者の身柄引き渡しを要求せず、結局引き逃げではなく自動車運転過失致死容疑で書類送検した。この不平等に関して著者は広報室長へ質問するが、その答えは徹頭徹尾冷徹なまでに軍の論理で貫かれている。「我々の仕事は、日米地位協定に従ってやっているのみだ(だから正しい)」と(ちなみにこの事件は、先月15日、懲役2年8月の実刑判決が言い渡された)。

そうであるならば、その根拠を変えるのは政治の力しかない。軍隊はその決定に従うしかないのだから。ただし政治の力とは、一部の政治家たちに任せるのではなく、市民による粘り強いあらゆる実行が基になるはずだ。そう信じるしかない。

(西脇尚人 2010/11/01)
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