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一過性の沖縄報道よりアジアへ活路を

一過性の沖縄報道よりアジアへ活路を
沖縄報道のこれまでとこれから


沖縄からの情報発信


日米関係をめぐるジャーナリズムの役割について話し合う「ジャーナリズム論」特別講演 「沖縄からの情報発信」が9日、沖縄大学で開催された(第466回沖縄大学土曜教養講座)。県内外のジャーナリストがそれぞれの立場から「沖縄問題」を語る論点に、会場を埋めた幅広い層の参加者はじっくりと聴き入った。

外岡秀俊氏(朝日新聞記者)は戦後から現在まで朝日新聞の見出しに載った「沖縄」というキーワードを折れ線グラフで表示し、そのピークは本土の安全保障が話題になったときだと解説し、「沖縄が主語になっていない、客体として扱われている」と批判した。

さらに外岡氏は本土紙の沖縄報道が一過性に陥る理由として2つを挙げた。1つは「新聞社にありがちは仕組み」。朝日新聞は東京・大阪・名古屋・福岡計4つの本社がある。それぞれ地元優先で別の記事を載せているため、落ちてしまう報道がある。例えば阪神大震災の報道を大阪は1年以上継続的に報道したが、東京では地下鉄サリン事件が起きるとそちらにシフトしていった。かつての水俣病の事件は九州では報道されていたが、東京へは届かなかった。沖縄は九州ブロックであるためその時点で抜け落ちてしまうし、まして東京までは届き難い。

2つ目の理由は、折れ線グラフが示すように、本土復帰により全てが解決したかのようにみなされてしまった点。それ以降も過重な米軍基地負担が続いているのに、あたかも問題がないかのように本土の人間が忘れてしまう構造ができてしまった。

吉田敏浩氏(フリージャーナリスト、早稲田大学ジャーナリズム教育研究所客員研究員)は、日米地位協定の改定が海外の自衛隊に影響を与えることを指摘した。同協定は刑事裁判権など日本にとって不平等な内容となっているが、それと同じ不平等な協定を、自衛隊が派遣先国との間で定めているという。2003年12月イラク派遣に伴い活動拠点としたクエートと、2009年4月ソマリア沖海賊対処活動の拠点としたジブチと日本はそれそれ協定を結んだが、いずれも刑事裁判権に関して派遣先国の裁判権は免除され、日本側に有利な規定である。つまり、米軍が日本でそうしているように、現地で自衛隊員が罪を犯しても、刑事裁判にかけられることはない。

吉田氏は千坂純氏(日本平和委員会事務局長)の次の言葉を引用している。「政府が地位協定を米国に求めない背景には、海外で自衛隊に米軍と同様の特権を持たせたい姿勢があるのではないか」

前泊博盛氏(琉球新報論説委員長)は本土と沖縄での沖縄報道の「温度差」を明快に論じた。本土では有事の安全保障問題として「戦争になったらどうするか」という論点で論じられる。一方、沖縄では平時の安全保障問題として、米兵の犯罪が問題になる。

前泊氏は長年沖縄で報道の仕事をしていると、否が応でも安全保障について詳しくなるという。その目から見て、本土紙で安全保障のプロフェッショナルがいるのか疑問を持つという。

森田明氏(ラジオ沖縄社長)は、沖縄のラジオ放送が沖縄のリスナーにとって身近で親しみやすい点を指摘した。その証拠にラジオの聴取率は首都圏で7%台であるのに対し、沖縄は10%台で強い支持を受けている。「ローカルに徹せよ」を社是とし、最近ではポッドキャストにより、県外・海外からリスナーが参加する予想外の反応もあるという。

後半の質疑応答では、森田氏から今年3月まで香港駐在だった外岡氏へ、アジアから沖縄への視点について質問が出た。外岡氏は4月の県民大会にアジアのレポーターが多数集まっていたのは、アジアが中国を意識している証拠だと指摘し、「アジアが沖縄を見る目は、本土の人間が見る沖縄よりリアルだ。変貌するアジア、その中に沖縄が見出すべき活路があるのではないか」と問題提起した。

個人的に期待したのは、外岡氏と前泊氏のあいだに繰り広げられるべき議論であったが、それは残念ながら展開されなかった。海外駐在経験が多く本土紙に在籍しながら本土紙の沖縄報道を批判する外岡氏と、沖縄紙に在籍しながら本土紙と沖縄紙の構造を客観的に論じる前泊氏との理性的な議論は、タイトルにある「沖縄からの情報発信」というような凡庸さを刷新するスリリングな可能性を秘めていたように思う。


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(西脇尚人)

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