twitter @oam0

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

沖縄:泡瀬干潟埋立問題に変化はあるか?

沖縄:泡瀬干潟埋立問題に変化はあるか? 2006/08/24

「想像していた以上に広くて驚いた。その場所が簡単に埋立られてしまうことを思うと‥‥。ここには長い歴史があるはずだし、残すべきものは生き物だけではないはず」とカヌー・ツアーの参加者は語った。



自然保護か開発か?沖縄市の泡瀬干潟埋立は果たして正しい選択だろうか?
 今年4月に行われた沖縄市長選挙において今回の開発(埋立)問題について、「市民のあいだでじゅうぶん話し合いがなされたとはいいがたい。もう一度話し合いをすべき」を公約にして当選した東門新市長に代わったことによって変化はあるのだろうか?

 泡瀬干潟埋立問題の概略はこうだ。同地を開発のため、事業者である国(沖縄県総合事務局)、沖縄県、沖縄市が埋立(187ヘクタール)を進めていることに対して、市民団体などが自然破壊、事業内容の杜撰さに対して反対している。1987年東部海浜地区(泡瀬干潟)埋立構想が策定され、1991年出島方式に計画が変更される。

 1998年、隣接する新港地区の浚渫土砂の「捨て場」に困った国が沖縄市に埋立計画への参入を申し入れ、計画が進展する。2000年アセス評価書広告・縦覧、埋立認可承認がなされ、2002年事業が着工される。その間ホソウミヒルモ、ニライカナイゴウナなど新種・貴重種が発見されるが、依然として事業は進められる。そして2005年、泡瀬裁判が始まった。

 今年度の工事は、護岸、仮設航路浚渫、汚濁防止膜の設置などで、トカゲハゼの産卵のために中断されていたがこの8月から再開され、1日には不発弾などの異常物がないかを調べる磁気探査が実施されている。つまりいよいよ本格的な埋立が始まる、というわけだ。

 この問題については推進派と反対派がはっきりと分かれている。開発派と自然保護派という対立軸におきかえてもよいだろう。まず開発の目的はどんなものか。沖縄県のマリンシティ泡瀬「泡瀬地区埋立事業」によると、「国際リゾート拠点、海洋性レクリエーション拠点、情報・教育・文化の拠点を形成する」と謳われている。だがこれに対して外部監査人により、根拠が明確でなく、需要予測が甘い。計画が抽象的であり、491億円もの事業費を投入すべきかも含め、抜本的な変更・見直しも必要との意見書が提出されている。

 次に自然保護の立場からはどうか。泡瀬干潟はトカゲハゼなど絶滅危惧種の魚、カニ、貝が121種類確認されている。これには干潟がある中城湾の陥没地形とその後の珊瑚礁形成に理由があるといわれている。その特徴は、泥質、礫質、粗砂質、細砂質など底質の違う干潟が存在し、さらに海草藻場珊瑚礁へと繋がっている点にある。沖縄でも他に類の無いこの複雑な底質が、生き物たちの多様性を生み出しているらしい。

 今回埋立反対の立場から活動を続ける、「泡瀬干潟を守る連絡会」が主催する体験カヌー・ツアー(13日)、干潟観察会(19日)に参加してみた。カヌー・ツアーは参加者6名が2人1組となってカヌーを漕ぎ、約20分かけフジイロ砂州に到着。観察したり、水遊びしたりして浜へ戻るという内容。これがカヌー初心者の私にはけっこうハード(笑)。遮るもののない炎天下、頭がガンガンしながら必死にパドルを漕いだ。はっきりいって取材どころではありませんでした、ゴメンナサイ。

 変わって19日の観察会は、家族連れを中心に県内各地から約50名の参加者で賑わった。開始前のミーティングでは同会共同代表の小橋川共男さんが注意事項を述べた。「むやみやたらに走り回ったり、ほじくり返したりしない。ひっくり返したら必ず元に戻す。リリースが基本。チリは捨てない。干潟はたくさんの生き物が住む場所です。入る前に『おじゃまします』といって下さい」と、優しく、しかし毅然と伝えられた。

photo21.jpg
好天の下、観察会の始まり。

 ワクワク気分で干潟に出た参加者たちは、小橋川さんをはじめ同会メンバーのガイドに従い、それぞれ小さな生き物たちと遭遇した。おわんをひっくり返したような砂茶碗(タマガイ類の卵)、殻のない貝・キナコアワモチ、美しいハナビラタカラガイ、珍しい形のカニなどに歓声を上げる子どもたち。小さな我が子の発見を逃すまいと慌ててカメラを向けるお父さん。小橋川さんの丁寧な説明に熱心にメモをとるお母さんの姿も。

photo22.jpg
小さな生き物の発見は、夏休みの思い出になることだろう。

 スジホシムシと新種のユンタクシジミの共生には、「実物を見たのは今日が始めてだ!」と、同会メンバーたちも興奮気味。「毎回新しい発見がありますよ」と笑みを漏らすのは事務局長の前川盛治さんだが、上陸したクビレミドロ砂州では「ここがちょうど埋立エリアのラインあたりです」と無念さをさらけ出す。そういわれ改めて360度周囲を見渡してみた。足下の白砂、浜近辺の黒砂。視線を90度動かすと礫質層の見える向こう岸にはフェンスに囲まれた米軍施設。他に類の無い沖縄の宝、そして矛盾の隣り合わせ。

 同会はこれらの体験学習を2週間に1度程度のペースで実施している。販売している「ようこそ泡瀬干潟へ」というガイドマップ(イラスト中心でとても分かりやすい内容)の制作など、普及啓発活動にも余念が無い。定例会も毎週実施、結束を固めている。その地道な活動には頭が下がる。

 彼らの提言は「埋立を止めさせ、ラムサール条約に登録し、エコツーリズム・潮干狩り・自然学習の場として活用し、自然観察センター・博物館を建設させよう。大事な事は、情報を公開し、みんなで検討し決めようよ。」というもの。

 そんな彼らが呼びかけて起こした泡瀬干潟「自然の権利」訴訟の第八回口頭弁論が2日、那覇地裁で行われた。住民側は絶滅危惧種トカゲハゼの重要な生息地であることを訴え、県は見直しの予定はないと応じた。

photo23.jpg
泡瀬干潟「自然の権利」訴訟の第八回口頭弁論のため、
那覇地裁へ向かう原告側。


 全てが予定調和の中で進められたかのような印象だが、一点見逃せないことがあった。被告側が提出を予定していた市の準備書面を撤回したのだ。「東門市長へのわれわれの働きかけが影響を与えたのかもしれない。方向性が変わる可能性もありえる」と期待を込める前川事務局長。しばらく沖縄市の動向を注視する必要がありそうだ。

 私にはカヌー・ツアーの参加者、那覇市の与那原さん(女性)の言葉が印象に残っている。「想像していた以上に広くて驚いた。その場所が簡単に埋立られてしまうことを思うと・・・。ここには長い歴史があるはずだし、残すべきものは生き物だけではないはず」。生き物だけではないもの‥‥想像するにそれは、地域の人々と干潟との営みであり、関わりであり、繋がりである。開発vs保護の2項対立から一歩離れ、「繋がり直し」の思想を持つ勇気を持ちたい。


関連サイト:
泡瀬干潟を守る連絡会HP
自然の権利HP
サイト内検索
カテゴリ
お問い合わせ

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。