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那覇港浦添ふ頭地区の埋立事業は必要か?

那覇港浦添ふ頭地区の埋立事業は必要か? 2008/05/13

浦添ふ頭沿岸の埋立に関する環境アセス。 審査会では各委員から疑問の声が続出した。傍聴した者として理解に苦しむのは、今アセスの対象があくまで第一ステージの埋立事業にすぎず、その背後には更なる大きな計画が控えているという点だ。



那覇港(浦添ふ頭地区)公有水面埋立事業に係る環境影響評価準備書についての環境影響評価審査会が行われている。平成18年2月から方法書の手続きが始まり、平成19年10月に準備書の手続きを経てこの5月から沖縄県環境影響評価審査会が開催された。

事業者の浦添市土地開発公社、那覇港管理組合によるとこの事業の目的は、「那覇港湾計画(注1)に基づく浦添ふ頭地区に第1ステージ事業として緊急性の高い用地造成を行うものであり、港湾関連交通の円滑な流通基盤の整備、臨港道路(浦添線)の整備、当該道路用地背後における都市機能用地の整備、港湾機能を支援するための緑地及び護岸用地の整備」とされている。事業規模としては約22.2haに相当する。

 そもそもこの事業には、国による沖縄振興計画(平成14~23年度)、那覇港港湾管理組合による那覇港港湾計画(平成14~20年代後半)、浦添市による浦添市総合計画(平成13~22年度)という3つの上位計画が前提としてある。

 この3つの大きな長期計画の背骨ともいえるのが、沖縄島を南北に走る国道58号線、330号線の渋滞緩和のために計画された幹線臨港道路(沖縄西海岸道路)だ。北は読谷村親志から南は糸満市真栄里まで約50kmに渡る。その一部として浦添ふ頭沿岸に道路を建設することに伴い、海浜との「隙間」を埋め立てるのが「第1ステージ」の当該事業。

この陸域には米軍牧港補給基地(キャンプ・キンザー)がある。1995年の日米合同委員会で全面返還が「合意」され、2006年の米軍再編最終「合意」では14haの集積場の整備が追加された。同時にその海域には遊休化している那覇軍港が移設されることも「合意」された。その場所は那覇港湾計画と重なる。皮肉なことに基地の存在によって開発を免れ中南部では数少ない自然海岸が残存しているその同じ場所に。

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閉鎖海域になる北側海浜のあたり。奥に見えるのはキャンプ・キンザー内の施設。

 また当該事業の埋立については、昨年7月3・5haの北側海浜部分を埋め立てずに、自然海岸・干潟として活用する計画に変更された。キャンプ・キンザーの返還、海浜保全への対応などがその理由となっている。

 1日(木)宜野湾市のぎのわんセミナーハウスで行われた第2回審査会では、最初に北側海浜部分のボックスカルバートを通した海水の交換について質疑がなされた。水質の悪化は免れないことが予測でき、閉鎖水域に砂がたまり、海藻草類に影響が出るのではと審査会が疑義を出したのに対し、事業者側はコンピューターシミュレーションによる海水交換率を示し、現況と埋め立てた場合でほぼ同等の80%の値が出たので大きな差異はないと答えた。

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1日の環境影響評価審査会。

 これに対し津嘉山正光会長(水環境専門)は「滞留状態が多くなり海水交換の効率は悪くなる。差がないというのは分かり難い」と疑問視した。堤純一郎委員(大気環境専門)は「海水の交換と海流が流れとして入るということはまるっきり違う現象。それによって生物に与える影響なども違ってくる」と指摘した。

 新城和治委員(陸域植物専門)は「群落の評価として海岸高木林2ヶ所の植生組成表が無いが?」と確認した。事業者側は「他の2ヶ所を含め米軍基地内のため組成表を作る時間がなかった」と回答。データ不足が露呈した。

 堤委員は上位計画そのものの必要性にも疑問を投げかけた。「現実には進出希望企業の数は多くない。東浜、豊崎、糸満など他の埋立地には売れ残った土地が山のようにある現状において、『緊急性の高い』とはいえないだろう。埋立をした時にキャンプ・キンザーが返還されていなかったとしたら、都市機能用地として計画している部分を本当に使えるという保障は誰がするのか?」

 現行では基地施設から海岸へ50mにかけて米軍による制限水域となっている。埋め立てたはいいが制限がそのままでは結局使えず野ざらし状態になるのでは?と堤委員は危惧する。

 事業者側は「熱意があって図面を書いてきた企業もある。用地は確実にすぐ埋まるものと考えている」と答えた。さらに制限水域についても「埋立申請予定の9月か10月頃に向けて解除の方向で米軍と調整している」と玉虫色の回答に終始した。

 傍聴していて理解に苦労したのが、アセス対象になっているのはあくまで埋立事業なのだが、その背後に更なる大きな計画が控えている点だ。両者には相関関係がある。しかし今ここで話し合われているのは「第一ステージ」の埋立事業部分についてのアセスなのだ。

 宮城邦治副会長(陸域動物専門)は恐らく同じような煮え切らなさからか、「港湾計画を前提とするのか今回の埋立事業のみで捉えるのか、それによって保全の仕方も違ってくるので困っている」と漏らした。津嘉山会長も応じるように「(港湾計画が実施されれば)北側の閉鎖海域は池になってしまう」と付け加えた。

 事業者側は港湾計画についてはまだ熟度がないと断った上で、「将来の計画があるからこうしなくてはならない、保全ができない、ということではないと理解していただきたい」と判然としない回答。

傍聴していた浦添ふ頭北側に位置する港川自治会からは、海草藻場が豊かな干潟を地元小学校との連携で総合学習の場として利用しているなどの報告がなされた。「ボックスカルバートでは藻場の利用が不便になる。ぜひ高架に変更してほしい」と訴えた。

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干潟で海の幸を採る親子。

(注1) 那覇港湾計画の概要については以下の那覇港管理組合サイトを参照。
ビジュアル的にイメージする手助けとして那覇港湾計画については那覇港湾計画図を。当該埋め立て事業については浦添市土地開発公社作成の説明会パンフレット(pdfファイル3ページ)を参照。

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